演劇の定義を知ることは、あらゆる演劇に関する知識の基盤になります。これから演劇を始めるにあたり、まず「演劇とは何か?」という所をしっかり抑えておくことはとても重要だったりします。
演劇とは、舞台上で、俳優が、演技(体の動きや台詞)により、物語や人物(思想、観念、感情)を創造する芸術様式の一つです。「芝居」「演戯」「舞台」とも呼びます。
「演技」を核とした芸術といえば、今でこそ映画やドラマ、アニメが一般的ですが、いずれも演劇から発展したもので、音響にしろ美術にしろ戯曲にしろ、古代から蓄積された演劇のノウハウが下地になっているんです。
演劇は様々な人間、芸術分野の融合で成り立つ芸術です。
演技(俳優)、劇場(舞台)、客席(観客)、音楽・効果音(音響)、文学(戯曲)、絵画(舞台美術)、ファッション(舞台衣装)とあらゆる芸術分野がフル動員されるので「総合芸術」なんて呼ばれたりしますが、実はこの内、演劇を成立させるのに絶対的に必要なのは
の3つのみ!
始めるにあたって、ドラマやアニメよりも大分敷居が低いのも演劇の良いところなんですね!
「生で演じる」というのも演劇が演劇たる条件の一つといえます。生で演じ、観客と世界を共有することからこそ、観客の心的世界に干渉し、無限の世界(劇的宇宙)を創り出すことが出来るのが演劇の醍醐味といえるでしょう。
ただ生で演じるということは、リテイクが出来るドラマや映画と違い、台詞忘れなど「劇中の失敗」のダメージが致命的なほどに大きいというリスクもあるということです。故に舞台俳優には、それ相応の力量や稽古量が求められる部分もあるのです。
観客の求めを舞台上で表現するのが演劇なので、「舞台というのは観客の願い(理想)の移し鏡」だという演劇観はよく語られます。その舞台上での失敗は、その鏡を割る行為に相当してしまうわけなんですね。