演劇における役割分担は、舞台上の俳優だけでなく、舞台裏のスタッフも含めた多くの要素が絡み合って成り立っています。演劇は業務が細分化しており、一つ一つの部分が大切に組み合わさり、全体としての作品が完成します。以下は、主な役割分担についての説明です。
俳優は、物語の登場人物を演じる役割です。役柄に応じて感情や動作を表現し、物語を観客に伝えます。実際に舞台に出て演技をする彼らの仕事は奥が深いものであり、詳しくは俳優カテゴリーを御覧ください。
演出家は、物語全体の構成や舞台上の動き、俳優の演技指導などを担当します。脚本や演技、照明や音響などを統合して、舞台全体のビジョンを具現化します。作品全体を創り上げる役割であり、映画における監督にあたりますが、演劇においては演出家と呼ぶことが多い。演出家の力量や完成によって、舞台のクオリティや性格が左右されるのです。
劇作家は、物語のストーリーや登場人物、台詞を書く役割です。映像系における脚本家にあたる存在です。物語の構成やテーマ、登場人物の心情などを表現することで、観客に感動や考えるきっかけを与えます。演出家が脚本を兼ねていることも多いです。
舞台監督は、リハーサルや本番において、演出家の指示に従って俳優やスタッフを調整します。舞台上の動きやタイミングを管理し、スムーズな舞台進行を実現します。いわば劇場全体の最高責任者であり、演出家の指示を実行する為に、スタッフを統括し、様々な作業の進行をまとめる役目も持っています。彼らは「ブカン」とも呼ばれ、まあ「裏方の王」と言える存在です。表の王(演出家)と裏の王(舞台監督)がいるのが演劇の特殊性の一つでもあります。
照明デザイナーは、舞台の明るさや色彩、影の表現などを設計し、演出家のビジョンを具現化します。照明によって、物語の雰囲気や登場人物の心情が強調されます。基本的に管理は一か所でやるものの、照明の種類別に管理担当がいることもあります。
音響デザイナーは、音楽や効果音を使って舞台の雰囲気を演出します。物語の展開に合わせて音響を調整し、観客に感情移入させる役割を果たします。実際に音を録音したり、音響サイトから素材を収集したりすることもその仕事の一部です。
舞台美術デザイナーは、舞台の背景や小道具、衣装などのデザインを管轄します。物語の舞台設定や時代背景を視覚的に表現し、観客に物語の世界観を伝えます。彼らは舞台上の装置・器具の配置も行います。
制作は、舞台製作全体を管理・運営する役割です。出演者やスタッフの手配、予算管理、チケット販売、広報活動など、舞台製作に関わるすべての事務作業を統括します。また、劇場の手配やスケジュール管理も担当します。公演の立ち上げから終了までのありとあらゆることがその仕事の範疇に含まれます。舞台終了後のギャラの支払いや稽古スケジュールの作成・管理も行います。仕事内容は多岐にわたりますが、あえて一言で言い表すなら「舞台と観客を繋げる」のが制作の仕事です。また、彼らは舞台監督の補佐も行います。
衣装スタッフは、俳優の衣装をデザイン・制作・管理します。物語の時代背景や登場人物の性格に合わせて、衣装を選定・調整し、俳優にフィットするように手配します。演出家からの要望を元に、衣装のデザインや調整を行います。
メイクアップアーティストは、俳優のメイクやヘアスタイリングを担当します。登場人物の特徴や物語の雰囲気に合わせて、メイクやヘアスタイルを調整します。
演劇の大道具スタッフは、舞台上のセットや大きな道具を取り扱う重要な役割を持っています。セットデザイナーやディレクターの指示に従い、舞台セットの構築を行います。これには、壁、床、天井、階段などの大きな構造物の製作や組み立てが含まれます。役者自身が動かせない大きな舞台装置や器具を担当します。例としては建築物のセット、大型家具などが考えられます。舞台上にセットを運搬、固定するのも大道具係の役割です。
小道具スタッフは、舞台上で使用される小道具の制作・管理を担当します。物語に必要な小道具を選定・制作し、リハーサルや本番での使用に備えます。定義としては「役者が手で持てる程度」の大きさの舞台装置や器具と思ってもらえれば良いでしょう。例としてはぬいぐるみや電話、椅子、机などが挙げられます。基本的には小道具の調達が仕事ですが、既存製品に望みの小道具がない場合は手作りします。用意した小道具を舞台上に配置するのも小道具スタッフの役目です。
演劇における役割分担は、これらの要素が協力し合って舞台を作り上げるものです。役割ごとに専門的な技術や知識が必要とされ、それぞれが重要な責任を担っています。これらの役割が一丸となって、観客に感動や喜びを提供することが、演劇の魅力の一つです。