演劇は、舞台上の俳優たちの熱演に心を奪われることが多いですが、その裏には数多くの「裏方」の仕事が存在します。彼らの存在なしには、華やかな舞台は成り立たないのです。演劇への関わり方はスポットライトを浴びる演者以外にも様々で、舞台を支える裏方がいなければ、現代演劇は成立しないと言っても過言ではありません。では、具体的に「裏方」とはどのような役割を持ち、どのような仕事を行っているのでしょうか。以下で「裏方」の仕事について解説します。
舞台の照明は、演劇の雰囲気を大きく左右する要素の一つです。照明スタッフは、脚本や演出家の意図を理解し、シーンごとの明るさや色を調整します。特定の役者やアイテムを強調するためのスポットライトの操作も彼らの重要な役割となります。また、演者の動きを考慮した上で照明のデザインを考えることが求められます。そのため、彼らの専門性が高いのです。
効果音やBGMは、観客を物語の世界へと引き込む大切な要素です。音響スタッフは、それらの音を適切なタイミングで流すだけでなく、音の質やボリュームを調整する役割も担います。さらに、演出家の意向や公演作品に合致した音楽やサウンドエフェクトを考え、導入することも彼らの重要な業務です。
物語の舞台背景を実際に作り上げるのが舞台美術スタッフの役割です。彼らは、脚本や演出家の意図を元に、舞台セットのデザインや制作を行います。細部にわたるディテールの作業も、舞台のリアルさや迫力を増すためには欠かせません。
舞台上で俳優が使用するアイテムや小物を制作・管理するのが小道具スタッフです。彼らは、物語に必要なアイテムを正確に再現し、役者に手渡す役割も果たします。
各キャラクターの役柄や性格を表現するための衣装を準備・管理するのが衣装スタッフの仕事です。彼らは、演劇の時代背景や世界観を考慮しながら、適切な衣装をセレクトします。場合によってはゼロから手作りします。また、衣装は使用すると劣化しますので、そのメンテナンスも衣装スタッフの仕事となります。
俳優の顔立ちやキャラクターの特徴を際立たせるためのメイクを施すのがメイクスタッフの役割です。彼らは、劇中での変化や特定のシーンに応じてメイクのデザインを変えることもあります。化粧以外にもウィッグのフィッティングも仕事のうちです。
演劇の舞台裏には、さまざまな「裏方」の仕事が存在します。彼らの専門的な技術や情熱がなければ、私たちが目の当たりにする感動的な舞台は実現しません。公演規模により裏方の人数は変わってくることもあり、華やかな舞台を下支えする裏方は劇団メンバーが担うこともあれば、会社やフリーランサーに外注する場合もある。次回劇場を訪れる際は、舞台上の俳優たちだけでなく、舞台裏で活動するスタッフたちの努力や献身も感じ取ってみてください。