演劇は、役者の表現を通して観客に感動や驚きをもたらす芸術の一つであり、その中核となる存在が「演出家」です。戯曲の解釈を行い、それにもとづき俳優の演技指導だけでなく、舞台に様々な要素をコーディネートするのが仕事です。
映画でいう映画監督、音楽でいう指揮者にあたりますね。
演劇創造において最終的な決定権を持つ、最も影響力の大きい存在が演出家です。様々な分野のエキスパートが関わるようになった現代演劇の発展とともに、その重要性は高まってきました。
ここではそんな演出家の仕事内容をわかりやすくまとめています。
演出家は舞台の一番の理解者として、上演する作品の大まかなコンセプトや方向性(原作の解釈やテーマの設定、どのようなメッセージを伝えたいのかなど)を決定します。その為にも台本(戯曲)に書かれた世界を読み解き、劇作家と入念な打合せを行うことから、全てはスタートするのです。
俳優の選定も演出家の大切な仕事の一つです。役者一人ひとりの特性や能力を考慮しつつ、作品の世界観やキャラクターに合ったキャスティングを行います。
稽古中、演出家は俳優たちの演技に対してフィードバックやアドバイスを行います。登場人物の解釈に正解はありません。無限の解釈がある中で、役者の戯曲の解釈を一定の方向に導かなければいけないので、とても難しい仕事です。
演出家は、舞台上での役者の位置や動き、照明や音響、セットや小道具の配置など、全体の構成を考えます。そして様々な要素を統一して調和させることで、舞台のエンターテインメント性を極限まで高めていくのです。
リハーサルを重ねる中で、演出家は総合的なチェックを行い、必要に応じて調整を加えます。
本番が近づくにつれて、細かな部分の調整やフィードバックを行い、最終的な演出を確定させます。
以上、ざっくりと演出家の仕事について解説させていただきました。
演出家は、非常に多くの人と関わり、統率する仕事なので、指導力があり、人間的に魅力のある人が向いています。
もしあなたが学生で、将来演出家になりたいと思っているのなら、人の上に立つような仕事(生徒会や学級委員など)を率先して行い、そういった能力をコツコツと鍛えておくことをおすすめします。